例のガス開発の件が発端である。
学校にいると、朝10時ごろに花火のような爆発音が聞こえ、遠くで黒煙が上がっているのが見えた。乾いたパンパンという音も聞こえたので、警察が発砲したのかもしれない。
生徒は興奮気味で授業どころではなく、すぐに全校生徒が集められて、「落ち着け」という話がされた。その後生徒は教室に入って待機。
授業が終わってもずうっと爆発音が止まないので、学校から帰ることができない。
とはいえ学校に居続けるわけにもいかないので、
生徒は近い家同士で集まって「集団下校」をすることになった。できるだけ大勢で帰りなさい、自転車などを置いておきたい生徒は職員室の中に入れておきなさい、という指示があり、いつもとは違う下校風景だった。
家に帰ると、近所の人から電話がかかってきて、
「絶対に家から出るな」
と言われた。爆弾も危ないし、警察も発砲して死んだ人がいるから危ないと言っていた。(本当かどうかわからないが)
う~ん、さすがに今日は明るく元気にいるってワケにはいかなかったな。
心の奥にモヤモヤした重くて暗い感情がずっとあった。
悲しみというか怒りというか、蔑みというか・・・
「どうしてこんなことするんだろう」
「どうせほとんどが調子に乗った、騒ぎたいだけの若者なんだろう。本当に迷惑だ」
「建設的な意見を出して論理的に解決せず、こんなことしても意味ないのに、ばかなのかな」
物事を力で無理やり解決しようとすると、負の感情が次々と起こる。
それがすごく実感できる一日だった。
学校からの帰り道、爆弾から逃れるために歩いている人達とすれ違った。
すれ違いざまに、はにかみながら「わたし爆弾怖いよー」と冗談っぽく言う女の子がいた。
それまで嫌な気分で歩いていたのがその一言でふわっとなくなり、
笑いというか、安心というか、そういう感情が出てきたのである。
嫌なことがあっても、それを顔や態度に出さずに、周りをほっとさせられる人って素敵だなと思った。
孔雀は、毒を持った蛇やサソリを食べるが、自分はその毒に侵されずに美しい姿で人々を和ませる。
今日すれ違った女の子は、そんな孔雀のような感じがした。
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